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小樽市で検査済証がない場合の旅館業許可

小樽市は自ら保健所を持ち、旅館業の必要書類として「確認済証の写し又は建築士による証明書」を挙げ、判断のフローチャートと建築士による証明の参考様式まで公開しています。一方で市の旅館業資料に「検査済証」の語は出てきません。台帳記載事項証明は昭和43年5月以降の建築物に限られ、窓口交付のみです。

本ページは、小樽市の物件について公開資料から確認できた範囲の整理です。 北海道全体の扱いは北海道のページにまとめています。 個別物件の扱いは物件の状態や窓口の判断によって異なります。最新の要件は必ず管轄の窓口でご確認ください。

小樽市の窓口は3つに分かれます

旅館業・建築・消防はそれぞれ別の窓口が所管します。ここを取り違えると、書類を持っていない窓口に通うことになります。

都市計画区域の内外:一部区域外

この市町村には都市計画区域の内と外の両方があります。同じ市町村内でも、物件の所在地によって建築確認申請の要否が変わります。

区域区分:二つの都市計画区域とも区域区分(線引き)あり。市街化区域 4,288ha(30.7%)/市街化調整区域 9,672ha(69.3%)/計 13,960ha。いずれも令和3年3月23日・北海道告示第230号。内訳は小樽都市計画区域 13,050ha(市街化区域3,848ha/市街化調整区域9,202ha)、札幌圏都市計画区域(小樽市分)910ha(市街化区域440ha/市街化調整区域470ha)。

なお旅館・ホテルは建築基準法上の特殊建築物です。用途変更する部分の床面積の合計が200㎡を超える場合は、都市計画区域の外であっても建築確認申請が必要になります。「区域外だから建築確認は要らない」と一律に読まないでください。

出典:都市計画区域(小樽市建設部都市計画課)

旅館・ホテルを建てられない用途地域

小樽市に指定されている用途地域は9種類。第二種低層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・田園住居地域・準住居地域は指定が無い。建築基準法別表第二により旅館・ホテルを建築できない用途地域(第一種低層・第一種中高層・工業・工業専用)の合計は 740+792+281+331=2,144ha で、市街化区域 4,288ha のちょうど半分にあたる(面積は小樽市の公開表、旅館・ホテルの建築可否は建築基準法別表第二による。小樽市の資料が『半分』と書いているわけではない)。小樽市の手引き自身も簡易宿所の項で『旅館営業を行えない用途地域や、施設の構造が消防法に適合しない場合があります。』と注意喚起し、建設部都市計画課で用途地域を、建設部建築指導課で『該当する用途地域内での旅館営業の可否』を確認するよう求めている。

物件の用途地域は住所単位で決まります。建物の状態に問題がなくても、用途地域によっては旅館業の施設にできません。

小樽市の上乗せ規制・地域の手続き

旅館業法とは別に確認が必要になる、立地と運営に効く地域の手続きです。市町村独自のものだけでなく、国・県の制度を含む場合があります。日程に直結するものがあります。

小樽市宿泊税条例(市税)+北海道宿泊税(道税)の二重課税・小樽市が一括賦課徴収

令和8年(2026年)4月1日施行済み。旅館業法の許可を受けたホテル・旅館・簡易宿所および住宅宿泊事業の宿泊者に、宿泊者1人1泊200円(市税)。あわせて北海道宿泊税も課されるが、小樽市が道税分も一括して賦課徴収し、特別徴収義務者は小樽市に市宿泊税と道宿泊税をまとめて申告納入する。

日程への影響:新規開業は『営業を開始しようとする日の前日まで』に宿泊税特別徴収義務者届出書の提出が必要。旅館業許可とは別系統(財政部市民税課)の手続きで、開業日の直前に期限が来る。許可取得のスケジュールに必ず組み込む必要がある。

小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり景観条例(登録歴史的建造物:第48条 届出/第49条 30日間の着手制限)

小樽市が登録した登録歴史的建造物について、(1)増築、改築、移転又は全部若しくは一部の除却 (2)外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 (3)外観の保全に支障を及ぼすおそれのある行為 をしようとするときは、あらかじめ市長への届出が必要。規模の下限は無い。

日程への影響:条例第49条により、届出が受理された日から30日を経過するまで行為に着手できない。市が『良好な景観の形成に支障がないと認めたとき』は30日が短縮される運用がある。宿泊施設への改修は外観変更を伴うことが多く、工事着工日が最大30日後ろにずれる。届出前に事前協議も求められている。

小樽歴史景観区域(131.6ha)内の景観届出は市域全域より閾値が大幅に低い

手宮から築港までの131.6haが小樽歴史景観区域。建築物の新築・増築・改築・移転の届出閾値は、市域全域(小樽歴史景観区域を除く。)が『高さ15m超』または『延べ面積500㎡超』であるのに対し、小樽歴史景観区域では『高さ(増築にあっては、増築に係る部分の高さ)が5mを超えるもの』または『建築面積(増築にあっては、増築に係る部分の床面積)が10㎡を超えるもの』。窓口は建設部 新幹線・まちづくり推進室 景観まちづくりグループ。

日程への影響:宿泊施設転用に伴う小規模な増築(玄関・階段・風除室など10㎡超)でも景観法の届出対象になり、原則として受理から30日間は工事に着手できない。区域内物件では旅館業許可の準備と並行して最低1か月の景観手続き期間を見込む必要がある。

廃棄物に関する協議報告書(生活環境部ごみ減量推進課との事前協議・担当課確認印)

旅館・ホテル営業/簡易宿所とも、旅館業許可申請の必要書類に『廃棄物に関する協議報告書』が含まれる。様式には担当課確認印の欄があり、生活環境部ごみ減量推進課と協議済みであることを示す必要がある。

日程への影響:保健所に申請する前に、ごみ減量推進課で押印を受ける工程が入る。書面を郵送で完結できない可能性が高く、現地または代理人の窓口対応が要る。

学校等おおむね100m圏内の意見照会による許可の遅延(小樽市が明記)

周囲100m圏内に学校・児童福祉施設・社会教育関係施設等がある場合、保健所から関係機関へ意見照会が行われる。

日程への影響:小樽市の手引きが『許可証の交付に通常より時間を要します』と明示している。日数の明示は無い。中心市街地の物件は該当しやすいため、物件選定段階での確認が有効。

無人営業(玄関帳場を設けない場合)の要件を小樽市が独自PDFで明示

監視カメラの設置、チェックイン機の3要件(施設に備え付け/宿泊者の顔を撮影して確認できる/予約情報を確認できる)、おおむね10分程度で駆けつけられる体制、緊急連絡先の掲示。あわせて『(玄関帳場を設けない場合)誓約書』の提出が必要。

日程への影響:設備仕様が先に決まるため、改修設計の段階で織り込む必要がある。後から方式変更する場合も同要件を満たすことが求められている。

消防法令適合通知書は旅館業では申請者自身が消防本部へ申請(公衆浴場との運用差が公開資料上にある)

旅館・ホテル/簡易宿所は『消防本部予防課 → 消防法に関する事前の相談・消防法令適合通知申請』とされ、申請者が小樽市消防長宛てに交付申請する。同じ手引きの公衆浴場の項は『(消防法令適合通知申請は保健所が行います)』と明記しており、業種によって運用が違うことが公開資料から読み取れる。事前相談が必要で、交付までに立会いを要する検査がある。

日程への影響:消防法令適合通知書は『交付後3ヶ月以内有効』。事前相談→交付申請(検査日調整)→検査→交付決定→交付の順で、検査日程が律速になりやすい。有効期限があるため取得が早すぎても失効する。

北海道のページには書いていない、小樽市固有の点

  1. 小樽市保健所の建築関係書類の軸は『検査済証』ではなく『確認済証』である。旅館業の様式ページ・新規申請の手引き(22ページ)・適合状況確認フローチャートのいずれにも「検査済証」の語が一度も出てこない。道立保健所が「建築基準法第7条第5項に規定する検査済証の写し」を求めるのとは、そもそも要求している書類の軸が違う。

    『検査済証が無い』こと自体が小樽市では入口の論点にならない。相談の際は『検査済証がありません』ではなく『確認済証はあるか/建築確認申請はされているか』から確認するとよい。北海道の県ページの記述(道立保健所は検査済証を求める)をそのまま小樽市の物件に当てはめると、不要な不安と不要な調査費が生じる。

    出典:新規申請の手引き(小樽市保健所/全22ページ。旅館・ホテル営業 p12-15、簡易宿所 p16-19)

  2. 小樽市は旅館業の建築適合確認の判断フローを1枚のフローチャートPDFとして公開しており、どの書類を出すかが分岐で決まる。分岐は『確認済証が手元にあるか』→『建物の用途がホテル・旅館(簡易宿所を含む)か』→『旅館業に使用する床面積の合計が200㎡を超えるか』の3段。

    自分の物件がどのルートになるかを事前に判定できる。初回の確認は、確認済証の有無・現況用途・旅館業に使う床面積の3点で足りる。なお、この200㎡は用途変更の建築確認申請の要否(建築基準法第6条)の分岐であって、検査済証の代替可否の基準ではない。令和8年5月28日国通知(健生衛発0528第1号・国住指第164号)の『用途変更する床面積200㎡以下』の適合確認ルートと同じ軸の話であり、検査済証の代替という軸とは別である。

    出典:建築基準法への適合状況の確認について(小樽市保健所 生活衛生課 衛生指導グループ/判断フローチャート1枚)

  3. 小樽市は建築士による証明書の参考様式(DOCX)を市自身が配布している。北海道内で参考様式の配布を確認できたのは倶知安保健所(道立)と小樽市の2件で、札幌市では様式配布を確認できていない。

    建築士が作成する証明書の書式が事前に確定する。様式が1枚もので調査結果の内訳記載欄が無いため、根拠資料は別添で整える運用になる。なお様式本文は「建築基準法に適合」と書き、リンク名は「建築基準関係規定に適合」と書いており語が一致していない。どちらの範囲で証明するかは保健所に確認したほうがよい。

    出典:(参考様式)建築基準関係規定に適合している旨の建築士による証明書(小樽市保健所配布・DOCX)

  4. 小樽市の建築確認申請台帳記載事項証明(建築証明)は対象年度が『昭和43年5月以降のもの』に限られる。小樽市の歴史的建造物(明治〜昭和初期)はこの台帳証明を構造的に取得できない。

    小樽で宿泊施設転用の対象になりやすい歴史的建造物・古い商家・倉庫は、ほぼ確実に昭和43年5月より前の建築であり、フローチャートの『建設部建築指導課に確認申請がされているか確認してください』のルートが最初から使えない。その場合は『確認申請がされていなかった』側へ抜け、建築士による証明書が事実上唯一の出口になる。物件の建築年が分かった時点で必要書類が確定する。

    出典:建築証明(建築確認申請台帳記載事項証明)について(小樽市建設部建築指導課/更新日 2023年12月15日)

  5. 建築証明は窓口交付のみで、郵送・電話/FAXによる事前予約に対応していない。手数料は350円/件で、証明申請書の提出先(建築指導課)と支払窓口(建設部庶務課)が分かれている。

    建築証明は窓口交付のみのため、郵送での取り寄せはできず、遠方からは現地または代理人による窓口対応が必要になる。窓口では『建築確認申請当時の地名、地番(住所とは異なります。)』『建築確認申請時の建築主氏名』が必要で、登記済証・登記事項証明書から拾うよう案内されている点も事前準備に効く。

    出典:建築証明(建築確認申請台帳記載事項証明)について(小樽市建設部建築指導課/更新日 2023年12月15日)

  6. 小樽市の事前相談先として必ず回るべき課が4課、手引きに番号付きで明記されている。『計画段階で下記の部署にも必ず相談してください。』と義務的な語調で書かれている。

    北海道の県ページでは事前相談は道・札幌市とも依頼ベース(『ご相談ください』『お願いします』)で法的義務としての明記は無いと整理されているが、小樽市は『必ず相談してください』と書いている。ただしこれも手引き上の運用であり、条例上の義務であることは確認できていない。実務上は『小樽市は事前相談を必ず経る運用』と考えておくのが安全。

    出典:新規申請の手引き(小樽市保健所/全22ページ。旅館・ホテル営業 p12-15、簡易宿所 p16-19)

  7. 小樽市宿泊税が令和8年4月1日に施行済みで、道宿泊税とあわせて小樽市が一括賦課徴収する。新規開業者は営業開始日の前日までに特別徴収義務者の届出が必要。

    旅館業許可のスケジュール表に必ず載せるべき別系統の期限。許可が下りても宿泊税の届出を落とすと開業初日から未届になる。市税と道税の二本立てだが、窓口は小樽市に一本化されている。北海道の県ページには宿泊税の記載が無い。

    出典:小樽市宿泊税の手続き(小樽市財政部)

  8. 小樽歴史景観区域(手宮から築港までの131.6ha)では、景観法の届出閾値が市域全域より一桁低い。市域全域が高さ15m超・延べ面積500㎡超であるのに対し、区域内は高さ5m超・建築面積10㎡超で届出対象になる。

    運河周辺・堺町など宿泊施設転用の需要が集中するエリアがまるごと区域内にある。転用に伴う小規模な増築でも景観法の届出対象になり、原則30日の着手制限がかかる。旅館業許可の準備と景観手続きは並行して走らせないと開業が1か月遅れる。窓口は建設部 新幹線・まちづくり推進室 景観まちづくりグループ(内線7472)。

    出典:届出が必要な行為/許可が必要な行為 一覧(平成30年4月25日・小樽市建設部 新幹線・まちづくり推進室 景観まちづくりグループ)

  9. 登録歴史的建造物に指定されている建物は、規模の下限なしに現状変更行為の届出義務があり、受理から30日間は着手できない(条例第48条・第49条)。条例は令和8年に一部改正されている。

    検査済証が無い古い建物と、小樽の登録歴史的建造物は母集団がほぼ重なる。物件が登録・指定歴史的建造物かどうかを最初に確認しないと、工程表が30日ずれる。なお条例本文に「事前協議」の語は見当たらず、事前協議は市のページと届出行為一覧の手続フロー上の運用として書かれている(条例上の義務であることは確認できていない)。

    出典:小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり景観条例(第48条 現状変更行為の届出等、第49条 行為の着手の制限)

  10. 旅館業許可申請の手数料が業種別に明示されており、保健所窓口での現金払いのみ。旅館・ホテル営業23,100円、簡易宿所19,800円。

    費用を実費として正確に見込める。現金のみ・窓口払いのため、代理申請の場合は実費立替の段取りが要る。北海道の県ページには手数料の記載が無い。

    出典:新規申請の手引き(小樽市保健所/全22ページ。旅館・ホテル営業 p12-15、簡易宿所 p16-19)

小樽市の物件で次に確認すること

  1. 物件の所在地が小樽市内であることを確認し、旅館業=小樽市保健所 生活衛生課、建築=小樽市建設部 建築指導課、消防=小樽市消防本部 予防課(詳しくは上の窓口表)と、3つの窓口を分けて考える。
  2. 用途変更する部分の床面積の合計が200㎡を超えるかを確認する(超える場合は都市計画区域の外でも建築確認申請が必要です)。
  3. 検査済証が見つからない場合、建築部局に台帳の記録が残っているかを照会する。
  4. 小樽市宿泊税条例(市税)+北海道宿泊税(道税)の二重課税(小樽市が一括賦課徴収)の対象になるかを確認する。
  5. 小樽の歴史と自然を生かしたまちづくり景観条例(登録歴史的建造物:第48条 届出/第49条 30日間の着手制限)の対象になるかを確認する。
  6. 小樽歴史景観区域(131.6ha)内の景観届出(市域全域より閾値が大幅に低い)の対象になるかを確認する。

公式資料・確認日

北海道内の他の市町村

同じ北海道でも、旅館業と建築の窓口・上乗せ規制・都市計画区域の扱いは市町村ごとに異なります。 物件の所在地が異なる場合は、その市町村のページをご覧ください。

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免責事項
本ページは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別物件について法的・技術的な判断を保証するものではありません。必要な書類や手続きは、自治体、建物の状況、用途、面積、改修履歴などにより異なります。実際の申請にあたっては、所管行政庁および建築士などの専門家へご確認ください。