無料の物件診断は翌営業日までに回答。検査済証・図面が見つからない物件も、そのままご相談いただけます。
← 宿カギ トップへ

2026年5月28日の通知で何が変わった?旅館業許可で『建築士の証明書』が必要と言われた方へ

2026年7月13日 宿カギ編集部 #旅館業 建築士 証明書#旅館業 建築士の一筆#旅館業 200㎡以下#旅館業 検査済証なし#旅館業 建築基準法 適合証明#保健所 建築士 証明書#2026年5月28日 旅館業 通知

旅館業許可を申請しようとしたところ、保健所から次のように言われて困っていませんか。

「建築士による証明書を提出してください」

「建築基準法に適合していることを確認してください」

「建築士の一筆が必要です」

「確認済証や検査済証はありますか」

これまで、用途変更する部分が200㎡以下であれば、建築確認申請は不要と説明されることが多くありました。

しかし、建築確認申請が不要であることと、建築基準法への適合確認が不要であることは別です。

2026年5月28日、厚生労働省と国土交通省は、旅館業許可時に建築基準法への適合確認を徹底するよう、都道府県、保健所設置市および特別区に通知しました。

この記事では、通知によって何が変わったのか、なぜ旅館業許可が建築書類で止まるのか、そして開業の遅れを防ぐために何を確認すべきかを、実際に宿泊施設を運営している事業者の視点から解説します。

この記事の要点

  • 2026年5月28日の通知は「法改正」ではなく、旅館業許可時に建築基準法への適合確認を徹底する通知です。
  • 用途変更部分が200㎡以下でも、建築確認申請が不要なだけで、建築基準法への適合確認まで不要になるわけではありません。
  • 200㎡以下では、建築士による適合証明書などを求められることがあります。名称や確認範囲は自治体により異なります。

この記事を読んでいただきたい方

2026年5月28日に出されたのは「法改正」ではなく通知です

まず、正確に整理しておきたい点があります。

2026年5月28日に出されたものは、新しい法律そのものではありません。

厚生労働省と国土交通省による、

「旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について」

という通知です。

この通知では、旅館業の許可を行う衛生主管部局に対して、用途変更後の建築物が建築基準関係規定に適合しているかを、建築部局と連携して確認するよう求めています。

通知の対象は全国の都道府県、保健所設置市および特別区です。

そのため、以前は札幌や京都など一部地域で特に厳しいという印象を持たれていた手続きが、今後は全国的により丁寧に確認される可能性があります。

ただし、すべての自治体で、すべての物件について、まったく同一の書式や書類が求められるとは限りません。

必要書類や確認方法は、物件の状況、面積、現在の用途、過去の工事、自治体の運用などによって異なります。

200㎡以下なら何もしなくてよい、という意味ではありません

2019年6月25日の建築基準法改正により、用途変更時に建築確認が必要となる特殊建築物の規模が、100㎡超から200㎡超へ引き上げられました。

その結果、ホテルや旅館などへ用途変更する部分が200㎡以下の場合、原則として用途変更の建築確認手続きは不要となりました。

しかし、国土交通省は当時から、建築確認が不要でも、建築基準法や消防法等への適合は引き続き求められると案内しています。

つまり、次の2つは同じではありません。

建築確認申請が不要

行政へ用途変更の確認申請を提出する手続きが不要であること。

建築基準法への適合確認が不要

建物が建築基準法に適合しているかを確認しなくてもよいこと。

後者は成り立ちません。

200㎡以下でも、旅館やホテルとして使用する建物は、用途変更後に適用される建築基準関係規定へ適合している必要があります。

今回の通知によって、その確認を旅館業許可の段階でより確実に行う方針が明確になりました。

200㎡以下の場合に求められる可能性があるもの

用途変更する部分が200㎡以下の場合、建築確認申請そのものは原則不要です。

一方、今回の通知では、用途変更後の建築物が建築基準関係規定に適合していることについて、建築士が証明した書類などを確認することが示されています。

実務上は、自治体から次のような表現で案内されることがあります。

ただし、名称が似ていても、自治体が求める確認範囲や書式は同一とは限りません。

そのため、「証明書を一枚作ればよい」と考えるのではなく、まず保健所や建築部局が具体的に何を確認したいのかを整理する必要があります。

なぜ、多くの事業者がこの段階で止まるのか

旅館業や民泊を始める方の多くは、物件を取得する前後に次の計画を立てます。

こうした運営面の計画は非常に重要です。

しかし、どれだけ運営計画を丁寧に作っても、建物が旅館業許可まで進められる状態でなければ、営業を始めることはできません。

実際には、次のような事情で手続きが止まります。

建物の図面がない

古い建物では、竣工時の図面や確認申請図書が残っていない場合があります。

図面と現況が一致していない

増築、間取り変更、設備追加などが行われていても、その履歴が残っていないことがあります。

確認済証・検査済証が見つからない

建築当時に交付されていても、所有者や管理会社へ引き継がれていないケースがあります。

改修履歴が分からない

誰が、いつ、何を変更したのか分からない場合、現在の建物の適法性を確認するために追加調査が必要になる可能性があります。

対応可能な建築士が見つからない

建築士資格を持っていることと、既存建物の法適合確認や旅館業向け証明業務に対応できることは別です。

建築・消防・保健所を横断する必要がある

旅館業許可は、保健所だけで完結する手続きではありません。

建築部局、消防、建築士、行政書士、施工会社、所有者、管理会社など、複数の関係者が関わります。

それぞれが見ている法律やリスクが異なるため、一つの窓口に相談しただけですべてが解決するとは限りません。

私たち自身も「建築士の一筆」で止まりました

私たちも、札幌で宿泊施設を開業する際、当初は住宅宿泊事業、いわゆる民泊での運営を検討していました。

しかし、地域の規制などを踏まえて、途中から旅館業許可へ方針を変更しました。

その際、保健所から言われたのが、

「建築士の一筆が必要ですね」

という言葉でした。

図面や登記事項証明書、室内写真など、手元にある資料は準備していました。

一方で、建物本体に関する検査済証が手元になく、どの建築士へ相談すればよいのか、何を確認してもらえばよいのかも分かりませんでした。

行政へ聞けば建築士へ確認するように言われ、建築士へ聞いても、通常の設計とは異なる業務のため、すぐに対応できる方が見つかるわけではありません。

結果として、内装や集客よりも前の段階で、想定以上の時間がかかりました。

この経験から私たちが強く感じたのは、旅館業では運営ノウハウより前に、建物と書類が許可まで進められる状態かを確認することが重要だということです。

書類の遅れは、単なる手続きの遅れではありません

建築書類の問題は、一見すると事務手続きの問題に見えます。

しかし、事業者にとって本当に大きいのは、開業が遅れることによる資金繰りへの影響です。

物件を購入していれば、開業前から融資返済が始まる可能性があります。

賃借していれば、営業していない期間も家賃が発生します。

さらに、次のような費用も積み上がります。

例えば、開業前の固定費が月30万円かかる物件で、許可取得が6か月遅れた場合、売上がないまま約180万円の固定費が発生します。

これは単純な例ですが、開業の遅れが事業計画に与える影響は小さくありません。

立地が良く、内装が魅力的で、運営ノウハウが十分にあっても、営業を開始できなければ収益は発生しません。

旅館業において建築書類は、裏方の事務作業ではなく、開業時期と資金繰りを左右する事業の土台です。

行政書士に依頼すれば、すべて解決するのでしょうか

旅館業許可を進める際、最初に行政書士へ相談する方も多いと思います。

行政書士は、許可申請書類の作成、保健所との調整、必要書類の案内などで重要な役割を担います。

ただし、建築基準法への適合判断や、建築士名義での証明書作成は、原則として建築士の専門領域です。

そのため、行政書士へ旅館業許可申請を依頼していても、建築上の確認が必要になった段階で手続きが止まり、別途建築士を探さなければならない場合があります。

これは行政書士の能力不足ということではありません。

旅館業許可が、複数の専門分野にまたがる手続きだからです。

関係者主な確認内容
保健所旅館業法、自治体条例、施設基準
建築部局建築基準法、用途、避難、防火など
消防消防設備、避難設備、防火管理
建築士図面、現況、法適合性、証明書
行政書士申請手続き、書類作成、行政調整
施工会社必要な改修工事
所有者・管理会社使用承諾、管理規約、工事承諾

問題は、専門家がいないことだけではありません。

それぞれの確認内容を整理し、手続き全体を前へ進める役割が曖昧になりやすいことです。

建築士がいる会社でも対応できないことがあります

最近では、設計会社や建築関係企業から相談を受けることもあります。

社内に複数の建築士が在籍していても、旅館業許可に必要な既存建物の調査や証明業務へ対応できるとは限りません。

新築設計や一般的な改修設計と、既存建物の適合状況を確認して証明書を作成する業務では、求められる調査や責任の性質が異なります。

特に次の物件では慎重な判断が必要です。

建築士にとって、確認範囲や根拠資料が不十分なまま証明書を出すことは、職業上の責任にも関わります。

そのため、「建築士なら誰でも一筆を書ける」というものではありません。

地方では、対応できる建築士が見つからない場合もあります

地方の案件では、旅館業や既存建築物の適合確認に対応できる建築士が近隣で見つからないことがあります。

書類確認だけで判断できない場合は、現地調査が必要です。

遠方の建築士へ依頼する場合、次の費用や時間が追加で発生する可能性があります。

証明書自体の作成費用だけを見積もっていると、実際の総額や期間が想定より大きくなることがあります。

そのため、物件購入後ではなく、できるだけ早い段階で対応可能な建築士がいるかを確認しておくことが重要です。

物件を購入・契約する前に確認したい10項目

  1. 用途地域
  2. 自治体独自の条例
  3. 建物の現在の用途
  4. 旅館業として使用する床面積
  5. 確認済証・検査済証
  6. 既存図面
  7. 図面と現在の建物の一致
  8. 増改築・改修履歴
  9. 消防設備の追加可能性
  10. 開業が遅れた場合の運転資金

すでに保健所から証明書を求められている場合の進め方

Step 1:保健所から求められている内容を確認する

書類名、様式、確認範囲、提出先を確認します。

Step 2:建物に関する資料をすべて集める

Step 3:建築士へ物件全体の状況を伝える

所在地、建物用途、構造、階数、面積、旅館業に使用する範囲、資料の有無、改修履歴などを共有します。

Step 4:建築・保健所・消防の条件を整理する

それぞれの要件が、同じ計画の中で成立するか確認します。

Step 5:追加調査と工事の可能性を見積もる

現地調査、図面復元、追加資料取得、改修工事などが必要な場合は、費用と日程を事業計画に反映します。

よくある質問

200㎡以下なら、建築士の証明書は不要ですか?

一律に不要とはいえません。200㎡以下では用途変更の建築確認申請が原則不要となることはありますが、建築基準法への適合確認まで不要になるわけではありません。

検査済証がなければ、旅館業許可は取得できませんか?

検査済証がないという理由だけで、すべての物件が直ちに不可能になるとは限りません。建物の状況、建築時期、既存資料、自治体の運用などによって、追加調査や別資料による確認が検討される場合があります。

行政書士に依頼していれば、建築士も手配してもらえますか?

事務所によって対応範囲が異なります。建築士と連携している事務所もあれば、依頼者自身で手配する必要がある場合もあります。

建築士なら誰でも証明書を作成できますか?

資格を持っていることと、その案件へ対応できることは別です。既存建物の調査経験、資料状況、現地調査の必要性、責任範囲などによって対応可否が分かれます。

遠方の物件でも対応できますか?

資料が十分なら初期確認をオンラインで行えることがあります。ただし、現況確認が必要な案件では、現地調査や地域の建築士との連携が必要になる可能性があります。

建築書類は、宿泊事業の「見えにくい土台」です

宿泊事業を始めるとき、目につきやすいのは内装、写真、集客、価格、レビュー、運営体制です。

しかし、それらは営業を開始できて初めて意味を持ちます。

建築書類は目立つ分野ではありません。

それでも、許可取得までの期間、開業前の固定費、融資返済、追加工事の有無、そして事業そのものを開始できるかどうかを左右します。

私たち自身も、建物と建築書類の確認に時間がかかり、当初の予定どおりに進められない経験をしました。

その経験から現在は、宿泊事業では、

内装や集客を計画する前に、建物が許可まで進められる状態かを確認すること

が重要だと考えています。

保健所から建築士の証明書を求められた方へ

宿カギでは、旅館業許可の手続きで建築書類に困っている方から物件資料をお預かりし、状況を整理したうえで、対応可能な建築士との確認を進めています。

特に次のようなケースについてご相談を受けています。

建物の状況によっては、追加資料、現地調査、図面作成、改修工事などが必要となる場合があります。

すべての物件で証明書作成や許可取得を保証するものではありませんが、まず現在の資料と行政から求められている内容を整理することで、次に何を確認すべきかが見えやすくなります。

宿カギのサポート内容を見る

旅館業許可の建築書類について相談する

関連記事

参考資料

  1. 厚生労働省・国土交通省「旅館業の許可時における建築基準法への適合確認の徹底について」
  2. 国土交通省「建築基準法改正により小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました」
  3. 厚生労働省「旅館業法概要」

免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別物件について法的・技術的な判断を保証するものではありません。必要な書類や手続きは、自治体、建物の状況、用途、面積、改修履歴などにより異なります。実際の申請にあたっては、所管行政庁および建築士などの専門家へご確認ください。

同じ状況でお困りの方へ

まずは無料の物件診断から。翌営業日までに対応可否を回答します(書類が見つからない物件もOK)。対応可能な場合は、建築士による証明書の準備を12万円〜でサポートします。

無料で対応可否を診断してもらう →